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※ 漏斗胸(ろうときょう funnel chest, pectus excavatum)
※ 鳩胸(はとむねpigeon chest, pectus carinatum)
English / Japanese
はじめに
 漏斗胸・鳩胸は一般にはあまり知られておらず、その情報も限られています。悩んでおられる患者さんとご家族も少なくないので、胸郭変形疾患である漏斗胸と鳩胸、その手術について解説いたします。このような情報では誤解が生じることを避けなければならないと考え、誤解を招きやすい平易な表現ではなく一部に専門的な用語や表現を用いました。メール(iidahomburg@hotmail.com)で御質問いただければお答えいたします。
成田赤十字病院心臓血管外科 飯田浩司  vol. 6 2009.06.20

「よくある質問と回答」は、こちらのページをご覧下さい。


漏斗胸・鳩胸とは
 漏斗胸とは胸の真ん中がくぼんでいる病気(状態)です。人口の400-1500人に一人に認められ、先天的な要因が発症に関わっていると考えられていますが、はっきりした原因はわかっていません。患者さんの20-50%程度はご家族に漏斗胸・鳩胸の方がいます。肋骨は左右12対ありますがそのうち上から7本が前胸部中央の平らな骨、胸骨に付いています。肋骨の前方、胸骨と付着する部分から数cmの部分は肋軟骨という軟骨です。肋骨の間には肋間筋があり呼吸に重要な働きをしています。胸を囲んでいる肋骨とその前方に続く肋軟骨が何らかの原因で長くなりすぎて歪みが生じて前胸部がくぼむと考えられています。漏斗胸のくぼみの最深点は通常胸骨の下端付近です。また漏斗胸の方では中央部の陥凹だけではなく、上胸部の突出を合併していたり、左右が非対称なこと、左右の肋骨と腹部の境目の肋骨弓が突出している方もあります。出生直後から陥凹が認められる方がほとんどですが、成長に伴って陥凹が明らかになる方がいます。3歳以下の方は自然に治ることもあります。軽度の場合は日常生活にまったく問題はなく、検査値の異常もありません。陥凹が高度な場合でも、それ自体で生命が危険に陥る疾患ではありませんが、心臓は左に変位し、肺が圧迫され肺活量が20%程度減少しており、胸痛、動悸、体重増加不良、かぜをひき易い、疲れやすいなどの症状がある患者さんもいます。小児期には症状が無い方も多いのですが、思春期以降胸痛、動悸、胸部圧迫感などの症状が出る方が増加し、成人では半数以上の方に何らかの症状があります。症状の原因は心臓と胸壁が接しているためだと考えています。通常は心臓と胸壁の間には肺があってほとんど直接に接する事はありません。しかし漏斗胸の方は、胸壁が陥凹して胸壁と心臓が広い面で接しています。このため心臓の動きが胸壁に伝わって動悸などの症状になると考えています。陥凹がある程度以上の場合には手術を行うことがあります。出生直後から陥凹があり、小児期に手術をすることが多いため、短期間の入院で安全に良好な形が得られ呼吸機能、成長に悪影響を与えない手術が求められます。また失敗例がないこと、重篤な合併症がないこと、つまり全ての患者さんに同様な結果が得られることが手術の必要条件と考えています。

 鳩胸は前胸部の骨が突出した状態です。漏斗胸の1/3-10の頻度でみられます。一般には健康に大きな影響はありませんが、洋服の上からでも分かるような大きな突出の場合は手術の対象になります。

漏斗胸に伴う異常所見
 漏斗胸の患者さんは健康診断で異常を指摘されることがあります。心電図異常は、心臓の位置がずれているために心電図の電極と心臓の位置関係がずれて波形が変わってしまうために生じます。心雑音や心音の異常は心臓の位置の変化のために血液の流れが一部変化するためと考えられています。また胸部レントゲン写真では心肥大や肺炎様の影を指摘されることがあります。これも心臓の位置の変化や胸壁の影です。これらの異常所見は見かけ上の異常で実際の障害はありません。しかし、心臓や肺の異常を合併していることもありますので疑わしい場合は心エコーやCTなどの検査が必要です。くぼみの強い方では呼吸機能、心機能を厳密に測定すると若干の低下がみられることがあります。しかし、日常生活に大きく影響するような異常値は通常は見られません。

どのような場合に手術の対象となるか
 漏斗胸の程度(陥凹の度合い)の評価には様々な方法があります。しかし患者さんによって体格や陥凹に違いがあります。つまり、胸板が厚いか否か、左右対称か否か、広く浅いか、狭く深いかなどの違いがあり陥凹を数字で正確に表すことには限界があります。成人の方では胸部レントゲン写真で心臓が左に変位している方や心電図異常を生じている方は心肺への障害が起こる可能性があると考えて手術を考慮します。また体表面からの簡便で被爆のない評価として、陥凹部分の容積が概ね患者さんの手拳の体積と同等以上である場合には手術を考えます。つまり患者さん自身の握り拳が胸に埋まる程度くぼんでいて、手術を希望する場合に手術適応と考えています。また3歳以下では自然に回復することがまれにあるため、3歳以上になったら手術を考えます。一般的には小学校に入る前ごろが至適時期と考えます。それは骨が柔らかく小さな傷から手術が可能であり、術後の形もきれいになること、集団生活の前で精神的な影響がまだ生じていないこと、患者さん自身が手術をある程度理解できることなどからです。漏斗胸手術の目的は、呼吸や心臓の機能への影響を取ることと精神的な影響を取ること、成長への悪影響を取る事と考えています。

 当科では外来受診していただいた患者さんに胸部CT(断層写真)を撮影して、数値化して手術の適応を決めることはしません。CTは被爆量が多く、特に子供さんに対する不必要な撮影は行いません。子供さんの場合は特に検査は行わず、診察のみで手術が必要かどうかを決めます。高校生以上の方では、症状を有することが多く、心臓や肺への影響が生じている可能性があるため初診時に胸部レントゲンと心電図の検査を行います。

手術の方法について
 漏斗胸に対する手術は病院により様々な方法が行われています。当科では、前方の肋骨、肋軟骨が長く急峻な角度で下方に向かうという漏斗胸の方の特徴に対して、長すぎる肋軟骨を切除再縫合する術式を基本としています。肋骨肋軟骨が長すぎるために胸が歪んでいるので、これを正常の長さに戻すというのが基本的な考え方です。これは和田らが2000例以上に施行した術式(注1)を基礎とした方法です。この術式の特徴は異物を使用せず、切り詰めた肋骨の張力により胸郭を矯正、固定することであり、変形、骨化の程度、年齢等により術式は大きく二つに分けられます。また症例に応じて陥凹が異なるため若干の変法を用いることもあります。

注1:和田壽郎氏 札幌医科大学名誉教授 元東京女子医科大学教授
著書「胸郭変形」(文光堂)などに術式の詳細があります。小生の研修時代の恩師です。


胸肋挙上術(SCE)

男性では胸部正中縦の皮膚切開、女性では乳房下の上に凸な曲線の横切開を行います。第3または第4肋軟骨から第7肋軟骨の過長部分を切除し糸で胸骨に再縫合します。柔軟性が残っている小児例、陥凹が比較的軽度な成人にはこの術式を施行します。胸骨を切断、翻転しないため創は小さくなります。最近は胸骨の下端の歪みが強い部分を切除することによってさらに術後の形態が良好になり、年長者にもこの術式を適応できるようになりました。
6歳男性 胸部CT
術前
術前
術後
術後

胸骨翻転(ほんてん)術(STO)

第2または第3肋間で胸骨を切断、下部を裏返しにして胸骨上部に1cmほど重ねて固定、さらに過長な肋軟骨を切除し再縫合します。胸骨が骨化し変形の強い成人例にのみ施行します。
成人男性 胸部CT
術前
術前
術後
術後

矯正の原理

いずれの術式も切除短縮し引き寄せて再縫合された肋骨・肋軟骨が元に戻ろうとする張力が胸骨を両側から引く。
その合力が胸骨を腹側に上昇させ、陥凹は矯正され胸部は適度に固定される。


我々の術式の特徴
 肋骨肋軟骨が長すぎるために胸郭が歪んでいると考えて、その長さをもとに戻すために切除します。短い単一の創から施行可能で、金属棒などの異物を使用せず、肋骨肋軟骨の張力で胸郭を固定します。ご自分の胸を押してみればわりますが、肋骨には弾力があります。この弾力を利用します。胸骨前後に金属やセラミック、自己骨などをおくことはせずに肋軟骨と胸骨を可能な限り解剖学的に元の通りの本数、順番で胸骨と糸を使って再縫合します。胸郭は動かない「籠」ではなく呼吸のために動く臓器と考えています。胸腔内を広く保ち、呼吸による胸郭の動きを妨げないように切断端を縫合します。そのため手術終了直後から自分で呼吸することが可能で、肺炎等の重篤な合併症の危険が回避され、術後の入院期間は1週間以内と短期間で済みます。術後の安静も短期間で装具等も必要ありません。術後の呼吸機能に重大な影響を与えません。左右の切除範囲を変えることで非対称な胸郭も良好に矯正可能です。また肋骨弓(肋骨の一番下の腹との境目)の突出もよく矯正されます。さらに矯正した骨性胸郭を剥離した筋層で覆う事によって筋の機能の維持、形態の改善を得るだけでなく、筋肉を介した血流を維持することにより感染の予防、早期治癒が期待できます。また皮膚の縫合には細い糸を用いてできる限り痕が残らないように工夫しています。ほとんどの患者さんに対して胸骨上部を切断せず、創が小さく、より侵襲が少ない胸肋挙上術を行いますが、体が大きく、左右非対称の強い陥凹の方には胸骨を一度切断する胸骨翻転術をおこないます。最近の100人の患者さんで胸骨翻転術を要した方は4人です。難点は患者さんにより変形、骨化の程度に差があり、最適な術式の選択と切除長の決定にある程度の熟練が必要となる事です。

手術結果
 1993年以降の141人の手術のうち心臓同時手術(3人)以外では、輸血を要した患者さんはなく、術後の人工呼吸を要した方もありませんでした。つまり患者さんは手術室で目が覚めて自分で息をしながら一般病棟に帰ってきます。固定の不良、再変形、肺合併症等理由の如何を問わず再手術や長期入院、長期の運動性制限を要した方はいませんでした。

《 胸肋挙上術 》
術前(手術時8歳)
術前(手術時8歳)
術後1ヶ月
術後1ヶ月

創肥厚予防のため術後しばらく
テープを貼ります。創は4cm。


術前(手術時16歳)
術前(手術時16歳)

術後2週間
術後2週間

肋骨弓の突出が著明に改善しています


術前(5歳男児)


術前(5歳男児)

術後(創長4.0cm)


術後(創長4.0cm)

高度な陥凹が改善し創は目立ちません


術前(手術時15歳)
術前(手術時15歳)

術後(創長8.5cm)
術後(創長8.5cm)

《 胸骨翻転術 》
術前(手術時25歳)
術前(手術時25歳)
術後1ヶ月
術後1ヶ月

《 側湾・左右差の改善 》
術前 術後
術前(左)後(右)の胸部レントゲン写真。心陰影が小さくなり、側湾症が改善しています。
術前CT
術前CT
術後CT
術後CT
術後は胸郭の厚みの左右差が消失しています。

 術後の形態は全例良好で入院期間や形態に症例による大きな差は認めず、いわゆる失敗例はありませんでした。肺炎や骨軟骨の感染等の重篤な合併症は認めませんでした。痛みは他の術式に比して少なく、小児では合併症の多い硬膜外麻酔は要しません。必要に応じて痛み止めの座薬を使用しますが、まったく必要としない方もおり、術後3日目以降に痛み止めを要したお子さんはいませんでした。また退院した後に予定外の来院、治療を要するような遠隔期合併症もまったく認めませんでした。このように"失敗例"がないことが我々の術式の大きな特徴です。新幹線や飛行機で見える方もいますが、術後平均入院期間は6.3日でした。小児ほど傷が小さく、形態もきれいで、術後の回復も早い傾向があります。6歳以下の男のお子さんの創の長さは3.8±0.5cm、7-15歳では6.0±2.0cm、16歳以上では8.5±2.1cmでした。女性は乳房の下の横の傷です。
 成人で手術前後の呼吸機能を比較すると、肺活量、一秒率は術前と術後6ヶ月、1年とも変化はなく、分時最大換気量は術後には増える傾向にありました。つまり当科の漏斗胸手術は呼吸機能に悪影響は与えず、良い影響を与える可能性があります。小児では呼吸機能検査に誤差が大きい事、成長の影響があることから手術前後の比較はできませんが、かぜをひかなくなった、疲れにくくなった等の改善を見ることがあります。呼吸機能に関して手術前後で詳しい統計を出している病院は少ないのですが、呼吸のための筋肉を切ったり、胸郭を固定することにより術後呼吸機能が低下する術式もめずらしくありません。

当院の方法に関する最近の参考論文
Nonprosthetic Surgical Repair of Pectus Excavatum. Annals of Thoracic Surgery 2006; 82: 451-6, H Iida, et al
小児に対する異物を留置しない漏斗胸手術 小児科診療 2007; 70: 513-7 飯田浩司、他


術後の生活について
 小児では手術当日はぐったりしていますが、翌日から歩行や食事が可能です。5日目頃からは、元気に走り回るようになります。小児の手術では術後3日目以降に痛み止めが必要になった事はありません。成人では痛みがやや長く続くことがあります。術後に装具などによる固定は必要ありません。術後1週間ほどで退院しその後1-3週で通学、仕事などの日常生活に復帰します。術後3ヶ月で活動の制限は全くなくなり、体育授業等が可能になります。春夏冬の休み中に手術をするお子さんが多くいます。ご自宅にいる期間も寝ている必要はありませんが、一般的には術後4週間は登校、登園、仕事を控えて、3ヶ月間体育の授業を見学したりスポーツを控えたりしていただいています。退院時には痛みもほとんどなく、元気になりますが、軟骨が癒合し元の強度になるには若干の時間を要します。特に子供さんの場合は、われわれの手術では痛みはほとんど無く、装具も必要ないので、集団生活の中で、ご本人や周りのお友達が手術を受けたことを忘れて、胸に強い力がかかる不慮の事故が起こることを避けるために術後4週程度の自宅安静をお願いしています。しかし、今までそのようなことが起こったことはありません。

長期予後について
 Ravitch法のような肋軟骨を大きく切除し一部の肋骨肋軟骨しか再建しない術式では、胸郭の成長を抑制することが散見されますが、我々の術式ではすべての肋軟骨を、その一部を残して再建するためそのような心配はありません。異物を留置しないので異物がずれたり、異物を摘出するための再手術を要することはありません。肋骨肋軟骨の長すぎる部分を直接切除するので再度陥凹することもまれです。しかし思春期の身長が急激に伸びる時期に肋骨がまた長くなりすぎて陥凹が目立ってくることがあります。漏斗胸の方は特に男性では痩せて背が高いことが多いために思春期に身長が急激に伸びて痩せてくると胸の変形がやや目立つことがあります。和田らの術式は20年以上の経験がありますが、長期的に重大な合併症はなく、再陥凹もまれです。

漏斗胸手術の歴史と他の術式について
 漏斗胸手術は1911年にMyerによって初めて行われたとされています。その後肋骨や胸骨を切断、切除する方法、体外から胸骨を吊り上げる方法、異物で固定する方法など様々な術式が行われてきました。Brown, Ravitch, 和田らによる肋軟骨を一部切除する方法、Nissen, 和田らによる胸骨を切断、翻転する方法が当院の手術の基礎になっています。和田は1959年から胸骨翻転術を施行しています。
 1981年に和田らは、胸骨に可変性が残る小児例では胸骨を切らないで肋軟骨を切りつめる事によって胸骨の変形を矯正する胸肋挙上術を発表しました。これが当院の小児の手術の源法です。 1998年米国の小児外科医Nuss らは金属のpectus barにより胸郭を内側から固定する術式を漏斗胸に対する低侵襲手術として報告し、本邦でも近年行われています。しかしこの方法は、6歳未満や成人には適応が限られていること、術後入院期間はわれわれの方法と変わらないこと、通常空気に触れることのない肺と胸壁の間の胸腔という隙間を左右とも開いてそこに金属棒を留置すること、異物の移動などによる合併症が10%以上と高率に報告されていること、合併症のための再手術や長期入院が散見されること、異物抜去のため再手術が必須なこと、病院によっては装具を長期間必要とすること、1年間に約2cm胸囲が成長するお子さんの胸を2-3年間金属で固定すること、さらに呼吸の度に動く胸を動かない金属で固定することによる影響や、長すぎる肋骨を切除しないため固定除去後の再陥凹が散見されることなどを欠点として考えています。Nussらの方法は低侵襲手術ではなく正中に傷がない手術と考えられるようになっています。現在本邦でもNuss方が広く普及しています。それは従来のRavitch法(その変法)に比べて比較的簡単に施行できること、軟骨を切らないことや前胸部に創が無いことが低侵襲であると考えられているからです。しかし、Nuss法では一般に10%程度の患者さんがバーの位置のずれなどによって再手術になります。また術後2-4年の間激しい運動はできません。我々は創の位置やどこを切除するか、よりも、すべての患者さんがより早くもとの生活に復帰することこそが低侵襲であると考えています。
 また、Nuss法を含めてどの術式でも手術の熟練度が合併症の頻度や術後の形態に影響することが報告されています。

《 術後合併症 》
SCE STOO(n=111)

輸血  0
術後の人工呼吸  0
肺炎  0
血胸  0
気胸(ドレナージ)  2(1.8%)
創部感染(骨・縦隔・)  0
皮膚の感染  1(0.9%)
皮下の浸出液貯留  2(1.8%)
合併症に対する手術  0
退院時の鎮痛剤処方  2(1.8%)
退院後の疼痛  0
Nuss法(n=53-335) 参考文献 1) - 6)

ドレナージを要する気胸 1.8-10.3
皮膚感染 2.0-4.6
皮膚皮下の炎症 0.4-5.5
肺炎 0.7-0.9
Barの感染 0.7-7.5
Barの移動 3.6-8.8
心穿孔 0.4-0.9
心嚢炎 0.4-2.4
再入院を要する疼痛 2.9-3.8
血胸 0.9-1.0
一過性Horner症候群 71.6
合併症に対する再手術 4.1-11
  (%)
1) Nuss D et al, Pediatr Endosurg Inno Tech 2; 205-221, 1998
2) Hebra A et al, J Pediatr Surg 35; 252-258, 2000
3) Fonkalsrud EW et al, J Pediatr Surg 37; 413-417, 2002
4) Croitoru DP et al, J Pediatr Surg 37; 437-445, 2002
5) Park HJ et al, J Pediatr Surg 39; 391-395, 2004
6) Watanabe A et al, Ann ThoracSurg 77; 296-300, 2004

手術至適年齢
 手術に最適な年齢は5-10歳ごろと考えています。それは肋骨肋軟骨に弾力があり、小さな傷から良好な矯正が得られるからです。また子供さんが小学校に入学すると急に精神的な影響が出て、漏斗胸を気にするようになることがあるからです。思春期を過ぎると動悸、胸痛などの症状を有する方の割合も増えます。小児期の手術をお勧めします。

成人の手術について
 成人では、体の大きさに応じて傷が大きくなること、硬い骨、軟骨を操作するため痛みが小児に比してやや強いことなどから小児期の手術が望ましいと考えます。しかし、成人では約半数の方が症状を有するため放置はできません。当院の方法を用いれば思春期以降の方、成人にも手術は可能です。過去3年間に当院で手術を受けた方の約半数は15歳以上の成人の体型の方でした。成人の方の高度に左右非対称な陥凹の矯正はどのような術式であっても容易ではありません。我々は手術方法に改良を重ね、そのような方にも十分な矯正が得られるようになってきました。成人女性の方で右側の胸壁の陥凹によって乳房に左右差がある方に対しては、乳房下の目立たない切開によって左右差が改善します。しかし、30歳を過ぎると軟骨の石灰化が進んでもろくなり手術が困難になります。

費用について
 18歳未満の場合は都道府県に育成医療の申請をすると、手術に関する費用の原則として90%が公費でまかなわれます。自己負担の上限は親御さんの収入によって違います。住居地の保健所にご相談ください。それ以上の年齢の方は通常の疾患と同様に健康保険が適応され30%が自己負担です。

「よくある質問と回答」は、こちらのページをご覧下さい。

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